いつもゴキゲンでいたいから…

自分らしくあるために。ジャンルを問わず、今日を書き留めていきます。

腕自慢?

今日は久しぶりにセレモニーのお仕事がありました。
お引き受けした時はリクエスト未定だったのですが、「演奏者おまかせでお願いします」ということだそうです。



故人さまは90代を超えた女性なので…童謡、唱歌、クラシックにヒーリングミュージックを混ぜた《いつものアレ》でいいかしら?
今の季節なら一青窈の「ハナミズキ」もピッタリですね、季節ですし😊



一青窈 - ハナミズキ


と、いろいろ考えて曲を取り揃え、会場に向かいます。


演奏を始める前に ご親族の方を見ると ひ孫さんまで参列されていて、大人数のご様子。
世代も広いようなのでスタジオジブリの曲も混ぜた方がいいな…🤔
いつも予め演奏予定の曲は決めていますが、会場の様子を見て、その場で曲を差し替えることも少なくありません。


電子ピアノをセッティングし、譜面台に演奏予定の楽譜を順番に並べて弾き始めます。
今日は音楽に詳しい方が多い感じ👀
私が弾いているのをジッと見ていたり、小学生くらいの子(おそらく ひ孫さん?)が私の回りでちょろちょろしていました。


お客さまをお迎えする曲を幾つか演奏した後、年配の女性が私のところにやって来て
「ねぇ、ちょっと。お願いがあるんだけど」と言います。
ん?急なリクエストかしら?手持ちの楽譜があればOKだけど。
女性は側にいた40歳前後の男性を指して
「この人にピアノを弾かせてほしいの。こんな風だけどピアノが上手なのよ。」


なぬ?こんなの初めて😳


その男性がモジモジしていると、横から小学生の ひ孫さんが来て、男性の代わりにヒョイと座ってしまいました。
すると彼女のママが
「〇〇ちゃん、弾いてごらん」と言うではありませんか…。更に
「ひまわりを弾いてよ」
ママに言われて彼女は「ひまわり」を弾き始めました(正確には「ひまわりの約束」ですね)。




秦 基博 - 「ひまわりの約束」 Music Video


小学生のようですが、よく弾けています🎶
でも…小さい子に良くありがちですが、最初のメロディーの一節を弾いた後、どこかへ走り去ってしまいました😅


すると今度はモジモジしていた例の男性が、先ほどの女性に促されてピアノの前に座りました。
そして私の楽譜をガサガサ漁って、弾く曲を探そうとします💧
「申し訳ありませんが、その曲は予定があるので…」と言うと、わたしが弾き終わった楽譜を見せてほしいと言うので渡しました。
男性が弾き始めたのは「めぐり逢い」



めぐり逢い-アンドレ・ギャニオン


なるほど、オバサマがおっしゃる通り、お上手です。


弾き終わった後、男性は得意満面の笑みを見せて、椅子から立ち上がられました。
私は微笑みながら小さく拍手させていただきました。



…ですが、ここは葬儀の場です。



街角ピアノならともかく、これで良かったのかな?


おそらく葬儀会社では ご遺族の意向が第一と言われるでしょうから、これで良かったのでしょう。


故人さまを ご遺族のピアノで送り出されたいと思われるなら、お式の途中は進行の都合上難しいですが、お客さまをお迎えするシーンで演奏していただけたら良いなと思いました。



一連の流れは…昼休みや放課後の音楽室で、生徒同士がピアノの弾き競う場面を思い出させました。
腕自慢というのでしょうか。
日本における街角ピアノのワンシーンのようです。


街角ピアノはイギリスのバーミンガムが発祥の地。
音楽をすることで、見知らぬ人同士が仲良くなれる…それが魅力で世界に広がりました。
でも残念なことに、我々日本人にとって音楽は輸入物で、その歴史はまだ浅いのです。
日本人の多くはピアノなど楽器の演奏を、単なるテクニックを競う曲芸と捉えがち。
少し前、加古川駅のピアノがマナー違反続出により撤去されたことを ご存じの方も多いと思います。



このニュースの通り、ストリートピアノを自分の技術披露に使っている人が多いのは、本当に残念なことですよね…ピアノ演奏は芸術であって、サーカスとは違うのですが。
まぁ、そんなことを言うのは、技術力がない私のヒガミかもしれません💦



男性がピアノを離れた後、私は またいつものように演奏を続けましたが…自分が作ろうと思った お式の流れが妨げられてしまったのでモヤモヤしたままでした。


家に帰って鏡を見たら、眉間にシワを寄せて弾いていたのか?その部分だけ化粧がヨレていましたよ🤣


葬儀は大切な故人さまをお送りするセレモニー。
私の演奏技術は高くありませんが…音楽の魂は負けないつもりです。 
これからも心を込めて、永遠に旅立たれる方を音楽で お送りしたいと思いました🍀