いつもゴキゲンでいたいから…

自分らしくあるために。ジャンルを問わず、今日を書き留めていきます。

ダッタン人の踊り

今日はセレモニーピアニストのお仕事がありました。
今回のリクエストは具体的な曲名の指定がなく、このジャンルで、というもの。
静かなクラシックがご希望です。



クラシック音楽はアカデミックな西洋音楽で、その多くはキリスト教と貴族文化の中で発展してきました。
今日のお式は仏教で執り行われるので、宗教色のないクラシックの曲を演奏しなければなりません。


手持ちの楽譜を出して眺めていると…ん?この曲は👀



「ダッタン人の踊り」
よし!これを使おう♫


「ダッタン人の踊り」はボロディンの作曲したオペラ『イーゴリ公』の劇中曲。
ボロディンはロシアの作曲家です。



オペラは未完に終わっていますが、この曲だけ特に有名で単独で演奏されることも多いのです。



ボロディン オペラ「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」


ところで《ダッタン人》とはどこの国の人なのでしょうか?
ダッタンは漢字で書くと韃靼。どこかで見たと思ったら…韃靼そば😀


韃靼というのはモンゴルのことで、ダッタン人というのはモンゴル民族のことなのでした。


「ダッタン人の踊り」が使われているオペラ『イーゴリ公』は、キエフ大公国の公、イーゴリの遊牧民族ダッタン人に対する遠征を描いた作品です。
(キエフは現在ウクライナのキーウのこと)


ロシアはヨーロッパ諸国と同じように歩むのを嫌い、思想、宗教、芸術などは独自の発展を遂げました。
音楽においても国民色が強く、ロシアを讃える作品が多いのです。
それは以前にお話したチャイコフスキーも同じでした。



でも…『イーゴリ公』はロシアがモンゴルに攻め入った時の出来事を描いた作品です。
これは正に今、ロシアがウクライナに侵攻しているのと同じなのかもしれません。


韃靼は日本語でモンゴルを指しますが、ロシア語ではポロヴェツと言うらしいです。
なので「ポロヴェツ人の踊り」がロシア風の本当の名前とのこと。


モンゴル民族は、赤ちゃんの時に蒙古斑を持ち、相撲の競技があるなど、私たち日本人と非常に良く似ています。
蒙古民族を統一したチンギス・ハーンは、海を渡った源義経なのだという、実しやかな説が過去にはありました(現在は否定されています)。
昔のことはわからないですが…何か壮大なロマンを感じます😆


ですが…何だか複雑な気分。
大陸で地続きの国々は互いに侵略したり、されたり、という歴史が繰り返されるのですね😢



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私がまだ教師になりたての頃、「ダッタン人の踊り」を授業で鑑賞しました。
当時、テレビで放映されていたCanonのプリンターのCMで、この曲が使われていたので、ボロディンの曲を知ってもらうために、「ダッタン人の踊り」は絶好の教材だったのです。


「ダッタン人ってどこの人?」生徒は皆んな、《ダッタン》という言葉の響きに興味を持ち…感想を書かせたら その話ばかりでした😂
その中で忘れられないものがあります。


それはHR委員のNくんの書いた内容。


「ダッタン人はモンゴルの遊牧民族ですね。
彼らはお祭りで、夜通し寝ないで踊り明かすそうです。
踊りは壮大なものと聞きます。
自分はいつか、モンゴルへ行ってその踊りを観たい。
その時は1人じゃなくて、隣には自分が一緒に生きていくと決めた人がいたらいいな。」


いつも大きな声で「起立‼️」「礼‼️」の号令をかけてくれた硬派のNくんの、思いがけないロマンチストな夢を聞いて…何だかほのぼのとした気持ちになったのでした☺️


Nくんは今、49歳になっているでしょうか。
その夢が実現したのかどうなのか?大人(オジサン)になったNくんは今、どうしているのだろうか?
会えるものなら会ってみたいです😊



話がずいぶん逸れました😅


今日のお式では最後のお花入れで「ダッタン人の踊り」を演奏しました。
本来はオーケストラと合唱用の曲なので、ピアノだけだと雰囲気が少し寂しかったですが💦
でも、穏やかな気持ちにしてくれる美しいメロディーでした✨


今日も無事にお見送りできて感謝でした🙏