いつもゴキゲンでいたいから…

自分らしくあるために。ジャンルを問わず、今日を書き留めていきます。

共通一次試験→センター試験〜我家の場合✍️後編

昨日に引き続いて大学共通テストのお話です。
今日は夫と試験の関わりから。


夫は私より8つ上ですので、大学受験は一期校、二期校の時代。
夫の志望大学や学部は難関だったので、浪人して入試に臨んでいました。
しかし数年後、共通一次試験の導入によって入試改革が行われることになり、夫は進路変更を余儀なくされて他大学に入学したのです。


共通一次試験の世代ではない夫ですが、仕事に就いてから、今度は試験のスタッフとして関わることになりました。


(ここからはセンター試験と呼ばせていただきます)
センター試験の仕事は失敗が許されません。
スタッフの集合時間は午前7時少し過ぎ。
遅刻はできないので、その日は寝坊しないように、目覚まし時計を複数セットしました。


夫はとらひめ地方の出身ではないので、地の利がありません。
おまけに極度の方向音痴です😅
当時はスマホもナビもない時代でしたから、何かが起きても連絡する術もなく…地図だけが頼り。
そのため試験の前の日曜日に、試験会場までの道順を一緒に確認しました。
所要時間はどれくらいか、万が一、渋滞に巻き込まれた時の抜道も考え、念には念を入れたのです。


スタッフの仕事は主に試験監督と、会場外の警備(現在、警備は外部委託)です。
私も教員だった時に入学試験の監督をしたことがありますが、これは大変神経を使う仕事。
試験監督のマニュアルを大まかに言いますと…


1つの教室に監督者は2人。
2人が同じ所に居てはいけないので、相手がどのように動くか、常に目で追います。
1人の監督者が前にいる時、もう1人は後ろに居なければなりません。相手が左に動いたら、自分は右…という感じでしょうか。
1箇所に留まってもいけません。
あまり歩き回ると気が散るというクレームも(後で)来るので、あくまでも静かにゆっくり動きます😂
靴音をコツコツさせてもいけません。
1人の受験の解答をジッと見ることもダメです。


センター試験では、監督者の座る椅子が一応用意されていますが(高校入試では椅子がなかったので、試験中は座れませんでした)、基本は立って監督します。
不正行為がないか、具合の悪くなった受験生がいないか、監督者は常に気を配らなければなりません。



夫が試験監督をしていて一番困ったのは、受験生が極度の緊張で鼻血を出してしまった時でした。
ハンカチやティッシュを出すと、不正行為とみなされてしまうので、本人は服で拭くしかなく…コンピューターによる採点処理に支障が出ないように、答案を血で汚さないように守らなければならなくて、本当に大変だったそうです。


ここで お断りしておきますが、試験の監督者は日頃、教育研究に関わる仕事をしている人たちで、試験官のエキスパートではありません。


センター試験の報道は、どうしても受験者サイドです。
監督者の不手際についての報道があると、大変大きく報道されてしまうことに。
確かに監督者がダメダメなケースもありますが、試験監督は普段している仕事と大きく異なります。
極度の緊張状態にあるのは受験者だけではなく、監督者も同じなので、そのようなニュースがあると監督者がかわいそうになってしまいます。



試験監督は、リスニングにICプレイヤーが導入されてから、更に複雑化しました。
リスニングは試験初日の3科目め(その日の最終科目)。
ICプレイヤーに不備があった場合にのみ、受験生は挙手をして監督者に知らせます。
もちろん機器の不具合がある場合もありますが、受験生が神経質になり過ぎて挙手することもあり…
夫は「どうか手が挙がりませんように」
と願うばかりでした。


自分の子どもが受験の時は免除されますが、概ね3年に2回くらいの頻度でセンター試験の仕事に当たります。
夫は脚が悪いので、手術を受けた後は立ち仕事を免除してもらいましたが、退職するまで30年以上、試験に関わりました。
夫本人はもちろん、家族である私たちにとっても、センター試験はヘビーな記憶です。



近年、更に試験は変わり…名前も共通テストと呼ばれるようになりました。
共通一次試験が始まって44年余り。
共通テストは今やもう、あるのが当たり前となっていますが、現在の受験生にとって本当に必要な物なのだろうか?と考えます。


入試より、卒業を厳しくしなければ、学生は勉学に励みません。
今の大学生は、入学したらアルバイトばかり。
それは経済的状況が厳しい学生が多いからで、仕方のないこととはいえ…本来、大学は勉強する場です。
経済的不安を感じることなく、勉強に励める社会になって欲しいですね。



昔の入試は、各大学で特色のある問題を自分たちで作っていました。
それはその大学に入学して来る学生が、質の高い者であってほしいという気持ちの現れで、それが入学試験の本来の姿でした。
その思いに立ち返って、そろそろ共通テストは終わりにしたらどう?と思うのは私だけでしょうか?


共通一次試験→センター試験のことは、夫の退職とともに我家では過去の話となりました。
でも毎年、この時期になると色々思い出してしまいます。
受験生も、それに関わる人たちも、本当に大変なこの受験システム。
もっと良い物に変わって、受験者にもスタッフにも、負担を減らして欲しいと思うのでした。