今年も押し迫ってきましたが、人が旅立つのに時は待ってくれません。
今日はセレモニーピアニストのお仕事がありました。

会場は県内ですが《とらひめハウス》から少し離れたところ。
最近すっかり遠くの会場要員になってしまったようです😂
今日は富士山がキレイ✨

さて、本日のリクエストは…

「ノクターン」／ショパン
「アメージング・グレイス」／作曲者不詳
「モルダウ」／スメタナ

以上、クラシックばかり3曲です。

どれも有名な曲ばかりですが…葬儀という場と、宗教の観点から、演奏してよいのか迷う曲でした。
でも喪主さまとご家族の希望ですので、弾かなければなりません。

まず、ショパン作曲の「ノクターン」
ノクターンは夜想曲という意味で、夜に演奏される抒情的な楽曲です。
ショパンは21曲のノクターンを作曲しました。
最も有名なのは第2番です。
フィギュアスケートで浅田真央さんが2番のノクターンで演技したことから、広く知られるようになりました。

浅田真央(mao asada)　World 2014 SP ～ 高音質+真央スマイルで至福のノクターン！
「ショパンのノクターン」といえばこの曲を言う場合が多いですが、実は21曲あるので…本当にこの曲が指定なのかな？と思いながら用意しました(昨日、必死で練習していた曲です)。
私はネクラなので(意外ですか？🤣)1番か21番(遺作)がオハコ。
2番は左手の鍵盤が跳ぶので、少し弾きにくくて苦手です。

次に「アメージング・グレイス」
これはCMやドラマで使われる大変有名な曲で、実は讃美歌なのです。

Amira Willighagen ~ Live in Concert ~ Amazing Grace
メロディーには諸説があって、スコットランド民謡またはイギリスの伝承歌と言われていますが、本当の作曲者はわかっていません。
ハッキリしているのはイギリスの牧師ジョン・ニュートンが作詞したということだけです。
歌詞はコチラ ↓↓

詞の内容はキリスト教的なことになっていますが、今日の葬儀は仏式。
宗教的に演奏していいものなのか…
でもご希望曲なので、僧侶の方がいらっしゃらない時を見計らって弾くことにします。

3曲目の「モルダウ」
日本ではこの名で親しまれていますが、本当の名前はスメタナ作曲の交響詩「我が祖国」第2曲「バルタバ」。これはチェコ国民にとって母なる川の名前です。
チェコ語で「バルタバ」ですが、ドイツ語では「モルダウ」。
ちょうどウクライナの首都「キーウ」がロシア統治下で「キエフ」と呼ばれていたことと同じなのです。
チェコがドイツ統治下にあった時には「モルダウ」でしたが、今は本来のチェコ語で「バルタバ」。
作曲したスメタナは、音楽史では国民楽派です。
この時代の人たちは、自分の国や民族を大切にして、その想いを音楽に込めました。

さて、「バルダバ(モルダウ)」です。

この曲は日本で合唱用にアレンジされて、中高生が合唱コンクールや卒業式で良く歌ったことから人気の曲となりました。

【合唱曲】モルダウ/ 歌詞付き

現在、クラシック音楽は日本人にとって普通ですが、元々は輸入音楽。
音楽にはそれを作った人がいて、曲ができた経緯や所以が必ず存在します。
好きな曲を結婚式に流したら、実はお葬式用の曲だった…なんてことも過去にありました。
耳にしたメロディーが美しいとか、曲感が素敵だから好きという気持ちはわかるのですが、その曲の背景を思うと時々考えさせられることがあります。

今日の故人さまは大正末期にお生まれになった百寿手前の方でした。
お亡くなりなる直前までお元気にしてらして、本当に突然の旅立ちだったそうです。

既に荼毘に伏されており、お骨を前に葬儀を行う《骨葬》といわれる形式。
葬儀の後に続けて三日目の法要を行います。
そのため、リクエストの曲をどこで演奏しようか迷いました。

ご家族のご希望曲ですので、なるべく皆さまが会場内にいらっしゃる時を見計らって弾くことにします。
葬儀と三日目法要の間が最適でしょう。
ここで「ノクターン」と「アメージング・グレイス」を演奏し、散会の時に「モルダウ(バルダバ)」を演奏することにしました。

ノクターンはゆっくり、情感を込めて弾いたので、まずまずの出来だったと思います。

リクエストされる曲はさまざまで、クラシック音楽を希望されることは少ないですが、一定数あります。

音楽を勉強してきた自分にとって、クラシック音楽は聖域のようなもの。
長い歴史によって育まれ、人々の魂が宿っていまので、リスペクトの心で演奏します。

クラシックに限らず、どんな曲もそうですが…

音楽を大切にする心を持って演奏すれば、必ず《音楽の神さま》に出会えると信じています💖

今日も演奏できて感謝でした🙏