いつもゴキゲンでいたいから…

自分らしくあるために。ジャンルを問わず、今日を書き留めていきます。

言葉に魂が宿る時

今日はセレモニーのお仕事がありました。
今回のお式は、故人さまと喪主さまの姓が違います。
おそらく故人さまの ご家族は姉妹で、お二人とも嫁がれたのでしょうか。
私が父の葬儀で喪主を務めた時も同じでした。
これは普通に良くあることですが…何となく親近感を覚えてしまいます。



通常、葬儀の最後には喪主さまによる挨拶(謝辞)があります。
多くの人を前にして お話するのは、滅多にある機会ではありません。
そのため葬儀会社では予め、挨拶の例文を用意しています。
ご家族が亡くなられると、喪主さまは葬儀の手配などで お忙しいので、大半の方が《挨拶の例文》をそのまま読み上げることになります。
でも、ごく稀に喪主さま ご本人が書かれた原稿をお持ちになって来たり、原稿を一切使わずに話される場合も。


今日の喪主さまは2人姉妹の長女さまで、原稿を持たず、ご自分の言葉で挨拶なさいました。
大丈夫かしら…?と要らぬ心配をしてしまいましたが💦
しっかりと お客さまの方を見て、お母さまの思い出、亡くなるまで家族で過ごした日々、参列された方への感謝の気持ちなど、ご自身の言葉で話されたので、とても心に響きました。


会場には学校からの供花が1つあったので、ひょっとしたら喪主さまは先生でいらしたのかもしれません。
先生という仕事は、常に多くの人の前で話しますから…お話が上手なのは頷けます。
でも先生は元から話し上手なのではなく、職業が人を作っていって、結果的にそうなるだけなのですけど😅



私が今までで一番素晴らしい挨拶と思ったのは、私の結婚式で、主賓をお願いした校長先生のスピーチでした。
全く原稿は持たず、ご自分の言葉で澱みなく話されたのです。
もっとも校長先生の専門は国語だったので、当たり前と言えばそうなのですが💦
参列された方が口を揃えて「素晴らしい挨拶だったねぇ」とおっしゃっていました。


私も一応、教師でしたが…人前で話すのは苦手な方。
声楽が専門だったので、人前に出ることには抵抗はありませんでしたが、話すとなると別です。
特に苦手なのは話すスピード。
言いたいことがあったり、緊張すると どんどん早口になってしまって…それは年齢が上がるまで改まりませんでした。


今までで最も気合を入れて臨んだ挨拶は、父が亡くなった時、喪主として謝辞を述べた時です。
そう…今日の お式と同じ会場で、15年前に今回の喪主さまと同じように挨拶しました。
病気の姉に代わって私が喪主を務めたのですが、リアル国語の教師だった姉なので、もし姉が喪主だったら きっと素晴らしい挨拶をしたと思います。


良くてきた姉に 対抗意識があったのは確かですが、きちんと自分の言葉で挨拶したかったので、もちろん原稿は持ちませんでした。
だいたい話したい事柄を頭の中に浮かべ、父の生涯について、私たち姉妹から見た父、参列して下さった方への感謝の気持ちを順を追って話したのです。
途中、言葉に詰まった時、隣に立つ姉が心配そうにチラッと私を見ましたが💦何とか無事に挨拶できました。
式後、義兄(夫の兄)が「とらひめちゃん、上手だったなぁ」と言ってくれて、すごく嬉しかったのを よく覚えています。


コロナ禍より、多くの人が集まる機会はめっきり減ってしまったので、多くの人の前で話をすることも少なくなりました。
ごく稀に そのような機会があったとしても、話す人は必ず原稿を読みます。
それ自体が悪いことだとは思いませんが、読み上げた言葉は どこか白々しくて、人の心に響きません。


テレビで国会中継を観ると、国会討論と言っても閣僚の書いた原稿の読み上げばかりで、ちっとも心に響きません。
人の書いた文章を読んでいるだけでは、討論とは言えないと思うのですが?
政治をする人は どうして自分の言葉で話さないのか、不思議に思います。
原稿を読むだけなら、誰でもできますけど?
それとも書かれた原稿を読まないで、政治家自身が話すと《不適切な発言》とやらになるからでしょうか?


「しっかりと」「スピード感を持って」「丁寧に説明」…聞き飽きましたよ😩
能登半島地震の復興、これだけ遅れていて《スピード感》って言えるのかしら?


そう言えば松野前官房長官。
彼はいつも記者会見で下を向き、原稿ばかり読んでいましたよね?



前を向いたら こんな顔だったんだ‼️って、辞めた時に初めて思いましたよ🤣



今の林さんは、前を向いて 人の目を見て話されるだけ、まだマシかしら?


おっと…横道にそれました😅



私が次に挨拶をしなければならないとしたら、それは夫が亡くなって、自分が喪主を務める時でしょうか。
でも、夫は葬式はしなくていいと言います。
「葬式はするな。お母さん(私のこと)と娘だけでオレを送ってくれ。骨は撒いてくれ」
これが夫の希望です。


う〜ん💧夫の希望通りにしたいですが…夫の立場を考えると、後で日を改めて《お別れの会》を開かなければならなくなるでしょう。
その時、私は集まって下さった方たちを前にして、挨拶すると思います。
きちんと、自分の言葉で。


こうして考えてみると、つくづく言葉というものは不思議なものです。
伝え方ひとつで魂が宿ったり、逆に白々しくウソっぽくなったり…
言葉を使うことができるのは人間だけ。
相手に何かを伝える時、ちゃんと心の籠ったことばにしたいなぁと、そう思いました。