消えていくかもしれない歌
今日はセレモニーの お仕事がありました。
コロナ禍の頃より小さな お葬式が増え、私が お仕事させていただいている葬儀会社でも少人数用のホールが増え…今回の お式は そのタイプの会場です。
小さな祭壇のサイズの お式専用ですので、通常は生演奏が入ることはなく、ピアノも設置されていません。
なので今回は特別に、他の会場から電子ピアノを運ぶのだそうです😳
小さな お葬式でも 心を込めて丁寧に お見送りする…
さすが、この地域で草分け的な存在の 我が社だなぁと思いました✨
今回はリクエストが1曲あります。
それは民謡の「木曽節」。
私も民謡のリクエストを頂いたのは初めてで、楽譜があるのかしら?と思っていたのですが…
ちゃんと事務所にありました😂
「木曽節」は長野県の木曽地方で歌い継がれてきた民謡です。
以前はNHKの『のど自慢』で、必ず1回に数人は民謡を歌う人がいたものですが…最近は殆どおられません。
今の時代、民謡を歌う人も 聴く人も減ってしまいました。
民謡出身の歌手は三橋美智也を筆頭に(私の知る限りでは)金沢明子、松村和子、福田こうへいが有名です。
私には特に、三橋美智也が透き通った高音を響かせて歌い上げた「木曽節」が印象に残っています。
しかし…西洋生まれのピアノという楽器で、どこまで「木曽節」を表現できるかしら?
事務所から送られてきた譜面を読んで弾き、考え込んでしまいました。
ピアノの音は、ペダルを踏んでしか長く伸ばせないので、なかなか難しいものがあります。
今回の故人さまは90代を超えた男性…ちょうど亡くなった私の母と同い年で、長野県の ご出身だったそうです。
お元気でいらした頃は、大好きな お酒を飲むと、必ず「木曽節」を歌われたのだそう。
この曲は ご家族にとって、故人さまのイメージそのものなのだと思いましたので、お客さまをお迎えする時と、棺への お花入れのシーン、出棺時に演奏させていただきました。
今日も無事に お見送りできて感謝です🙏
また民謡の話に戻りますが…
私が高校で音楽を教えていた頃、民謡など日本古来の曲が学習指導要領に加わりました。
ずっと西洋音楽を勉強してきた私にとって、民謡は未知の領域で…
盆踊りなどで耳にすることはありましたが、教えるとなると話は別です。
一応、五線譜があるので指導はできるのですけれど、日本古来の音階(ヨナ抜き音階と言われる4番目の音ファと7番目の音シのない五音音階)の音が取りにくかったり、言葉が難しいというので、なかなか教えるのに苦労しました。
私にとっても、現代っ子の生徒にとっても、民謡は どこか とっつきにくいイメージです。
世界中、どこの国でも民謡はありますが、日本と同じように韓国、中国なども民謡が あまり歌われなくなっているのだそう。
でもヨーロッパでは、今でも歌い継がれているようです。
「アニー・ローリー」や「ダニー・ボーイ」「蛍の光」などはスコットランド民謡ですが、同じ民謡でも ずっと耳馴染みがいい感じ。
実際、私の《いつものアレ》には「ダニー・ボーイ」も入っています。
歌い継がれていく民謡がある一方で、廃れていってしまうものもあって…
日本の民謡は地域社会によって歌い継がれてきましたが、人々が都市部に流出して、地方が廃れてしまった今は、殆ど歌われなくなってしまいました。
私の好きな「こきりこ節」「南部牛追歌」そして「木曽節」も、いずれ消えゆく運命にあるのかもしれません。
時代の流れとはいえ…何だか寂しいですね😔
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